ゴミ屋敷と孤独死 Vol.1

2022年7月9日

ゴミ屋敷が孤独死を招く!孤独死を迎える人の傾向や対処とは?
 
孤独死と聞くと高齢者を思い浮かべる方が多いかと思いますが、実は中年と呼ばれる40代や50代でも孤独死が多く発生しています。
孤独死は40代以下の若年層が年々増えており、高齢者だけの問題でなくなっているのが現状です。
孤独死で亡くなった人の家はゴミ屋敷化している場合が多く、ゴミ屋敷と孤独死には深い関係性があります。
この記事では、孤独死とゴミ屋敷の関係性について説明し、孤独死を迎える人の傾向や孤独死を防ぐ対処法について記載していきます。本記事を読んで、決して他人事ではない孤独死の問題について、今一度考えて頂けたら嬉しいです。
 
 
年々増加する孤独死は身近な社会問題になりつつあります
ニッセイ基礎研究所の推計によると、孤独死で亡くなった人の数は年間で約26,000人にのぼるといいます。(※本データでの孤独使者数は「自宅で死亡し、死後約2日以上経っていること」を孤独死と定義しています)
この人数を聞いて、孤独死する人が想像以上に多いため、驚く人もいるのではないでしょうか。
孤独死が増加する原因として、下記3つの要因があげられます。
 
・地域・社会から孤立化が進む環境への変化
・高齢者の貧困化
・熟年離婚の増加
 
これらの要因は簡単に対処することができません。
孤独死は平成11年から21年の間の約10年間で3倍に増えており、孤独死の増加を食い止めることの難しさを感じます。
総務省統計局のデータによると、2030年には3世帯に1世帯が単身世帯となることが予想されています。
孤独死の件数は単身世帯と比例して増加することが考えられるため、ますます孤独死で亡くなる人の数は増えていくでしょう。
 
 

孤独死を迎える人はゴミ屋敷の住人が多い?
孤独死とゴミ屋敷の因果関係とは

 
孤独死で亡くなってしまう人は、ゴミ屋敷に住んでいることが多いといわれています。
部屋をゴミ屋敷にしてしまう人と孤独死してしまう人には共通している部分が多く、下記で挙げるように密接な関係があります。
ここからは孤独死とゴミ屋敷を引き起こす要因と根深い関係性について解説していきます。
 
1.一人暮らしであること
ゴミ屋敷の住人は一人暮らしの割合が高く、一人暮らしでない家に対して二倍以上ゴミ屋敷化しやすいといわれています。(出典:大阪市のいわゆる「ごみ屋敷」の現状について)複数人と暮らしていれば、誰かの助言や手助けによってゴミ屋敷を防ぐことができますが、一人で片付けをしなくてはならない一人暮らしは条件が揃うことで簡単にゴミ屋敷化してしまいます。
 
孤独死も同様に、一人暮らしであるケースが非常に多くなっています。
複数人で暮らしていたら、同じ屋根の下で家族と長期間コミュニケーションを取らないという特殊な場合を除いて、孤独死してしまうことはありません。
同居人の異変に気付き、対処することで孤独死を防ぐことが可能だからです。
このように一人暮らしであることは孤独死やゴミ屋敷化を防ぎにくく、これら事態を招く原因の1つとなっているのです。
 
 
2.社会的コミュニケーションが希薄となり、孤立していること
ゴミ屋敷に住んでいる人は自分の部屋がゴミ屋敷であるという後ろめたさから、社会的コミュニケーションが希薄となっていく傾向が多くあります。
部屋がゴミ屋敷であることが周囲にバレることを恐れ、家族や友人、近隣住民とコミュニケーションをとることを拒むことで段々と孤立していきます。
孤立化が進むと孤独死のリスクが高まり、万が一孤独死してしまった際に異変を感じ取ってくれる人や発見してくれる人がいないため、死体が放置されるという最悪の事態にまで陥ってしまいます。
 
 
3.心身に疾患があること
心身に疾患がある人は、部屋をゴミ屋敷にしてしまうことが多くなっています。
何故なら、身体に不調がある人や精神的に塞ぎ込んでしまっている状態の人は、心身の状態のせいで片付けができません。
片付けができない状態が続くと、部屋はゴミ屋敷化してしまいます。
孤独死の割合の多い高齢者は特に、病気や足腰の不調が多いため、ゴミ屋敷化しやすくなっています。
心身の疾患によりゴミ屋敷化した部屋は火災や怪我の原因となったり、不衛生な状態が続き、孤独死のリスクをより高めることに繋がるのです。

 
ゴミ屋敷を放置するリスクとは?
孤独死の特殊清掃は、どれくらい費用がかかるの?
 
孤独死とゴミ屋敷には密接な関係があるとわかっていただいたところで、ここからはゴミ屋敷を放置するリスクについて触れていきます。
 
ゴミ屋敷は放置することで、怪我や火災、孤独死の可能性を高める危険な状態です。
また、ゴミ屋敷の中で孤独死し、長期間放置された場合は高額な費用がかかってしまうので注意が必要です。
 
ゴミ屋敷は放置により怪我や火災を引き起こす原因に
ゴミ屋敷となってしまった部屋は足の踏み場がなくなり、何がどこにあるかわからない状態なので思わぬ事故や怪我の原因となります。
コンセントにほこりが入り込むことで火災が発生するトラッキング現象や、たばこの火がゴミに移り火が広がってしまうなど、ゴミ屋敷が火事になるリスクはゴミ屋敷でない部屋よりも非常に高くなっています。
更に、衛生面で良くない状態が続くことで健康に害を与える場合もあります。
ゴミ屋敷は思わぬ事故や怪我、病気の原因となり、命を脅かす危険性があるのです。
 
孤独死した場合の特殊清掃の費用は、通常の清掃よりも多額な費用がかかります。
万が一孤独死した場合は、特殊清掃となる場合が殆どです。
何故なら、孤独死は死後数日経ってから発見されることが多く、悪臭や害虫といった対処が必要となるからです。
孤独死の現場の清掃は、死体から漏れ出た体液によって感染症になる危険性があったり、悪臭の原因を突き止めることが困難といった素人では判断が難しく、危険性の高いものとなります。
ですので、孤独死の特殊清掃は基本的に業者に依頼することになりますが、一般的な清掃よりも清掃員の負担が大きいため、高額な費用が必要になってしまいます。
日本少額短期保険協会が2021年に発表した「第6回孤独死現状レポート」によると、孤独死の平均清掃費用の原状回復費に約390,000円、残置物処理費に約230,000円かかることが分かります。
孤独死の清掃費用だけでも、合計で約620,000円の費用がかかり、孤独死保険等に加入していない場合は多大な支出となってしまいます。
 
物件の原状回復費用は部屋の状態や管理者によって変わってくるため、更に多くの費用を請求されるケースもあります。
親族や法定相続人、連帯保証人、不動産の管理者に多大な影響を与える孤独死は、そのような事態とならないように予め対処をしておく必要があります。
 
 
後編へ続く