高齢者のゴミ屋敷問題  Vol.1

2022年8月1日

高齢者が家をゴミ屋敷化させてしまう原因と対策とは?
家族だけでは対処が難しいケースも!

 
「綺麗好きだった祖母や祖父の家が散らかっていることが多くなった…」と気付いたら、家がゴミ屋敷化する可能性のある危険なサインです。
どんなに綺麗好きな人でも、加齢による心身の影響で行動パターンは変わってしまうもの。ゴミ屋敷には病気や怪我などの様々なリスクがあり、ゴミ屋敷化してしまった家の対処には家族のサポートが必要不可欠です。
この記事では、高齢者が家をゴミ屋敷化させてしまう原因とその対処法について解説いたします。
一人で悩みがちな高齢の家族に対し、どのように接することが最適なのか、ご参考になれば幸いです。
 
高齢者の家はなぜゴミ屋敷になってしまうのか?
5つの要因と対策を解説していこうと思います!
高齢者は若者よりも家をゴミ屋敷化させてしまう傾向にあり、心身の影響や生きてきた時代背景によるものなど原因は多岐に渡ります。
「どんなに注意しても祖父や祖母の家が、訪れる度に汚くなっている…」と気付いたら、家がゴミ屋敷化する前兆かもしれないと意識をすることが大切です。
高齢者の家がゴミ屋敷化する5つの要因は以下になります。
 
1.簡単に物を捨てられない心理
2.老化による心身の衰え
3.人を頼れない状態
4.セルフネグレクト
5.認知機能の低下

 
なぜ高齢者がゴミ屋敷化させてしまうのか、要因と対策についてひとつひとつ解説いたします。
家をゴミ屋敷化させてしまう恐れのある高齢者とその家族はそれらをしっかり理解し、ゴミ屋敷化を予防できるよう心がけていきましょう。
 
 
1.簡単に物を捨てられない心理
高齢者は物がなく困窮していた戦時中や戦後を経験しており、他の世代に比べて物に対する執着が強く、物を捨てられない傾向にあります。
「これはまだ使えるから捨てないでおこう」という考えが働き、古くなった物がいつまでも家にあるため、年々物は増えるばかり。
物を大事にするのは良いことですが、捨てられない状態が続くと収納できなくなり、ゴミ屋敷に近づいていきます。
高齢者の物を大事にする考え方を頭ごなしに否定しては関係性が悪くなるだけなので、そういった背景があることを念頭に置いて、捨てるものと捨てないものについて丁寧に話し合うことが大切です。
 
 
2.老化による心身の衰え
老化により足腰が弱くなり、体力が大幅に低下した高齢者にとって掃除は大きな負担になります。
高齢者は掃除をしたくても身体が思うように動かず、中々掃除が進まないという状況に陥りがちです。
身体が思うように動かないことで精神的に参ってしまい、物事に対して気力がなくなった結果、片付けをしたりゴミ出しをするという意識が希薄になったりする人も多くいます。
高齢者には体調が悪い時は手伝いにいくことを伝えておいたり、心身に不調が多い場合は介護サービスを利用するなどしてサポートをできる体制を整えておきましょう。
 
 
3.人を頼れない状態
高齢者は、昔自分が当たり前のように出来ていたことを人に頼むことに抵抗のある人が多いです。
以前は出来ていた筈のことを人にやってしまう申し訳なさや情けなさから、人に頼むべき状況であるのにも関わらず、その状態を隠してしまう傾向にあります。
家を片付けたくても片付けられないまま人に頼らない状態が続くと、家の中にゴミが散乱していき、やがてゴミ屋敷に。
人を頼ることに抵抗がある高齢者は何度声をかけても、中々頼ってくれず対処が難しい状態です。根気よく、家族に頼って貰えるように働きかけていく必要があります。
 
 
4.セルフネグレクト
加齢による身体機能の低下は自己放棄や自己放任といわれるセルフネグレクトに陥る原因になります。
セルフネグレクトは自分のことに興味関心がなくなり、どんなに不衛生でも気にならなくなってしまう状態のこと。
部屋中にゴミが散乱していたり、汚れた衣服を着続けるといった特徴があり、自分自身にはそうした自覚がないため、ゴミ屋敷化するリスクが非常に高くなっています。
セルフネグレクトの半数以上が介護を必要としている認知症状態であるため、異変を感じたら医師や地域包括支援センターに相談をしましょう。
 
 
5.認知機能の低下
65歳以上の人の約16%の割合にものぼるといわれている認知症は、理解力や判断力が低下し、ゴミかゴミでないのかを見分けられなくなってしまいます。ゴミの日やゴミの集積場所の認識もできなくなるために、ゴミを捨てられない状況が続いてしまうこともあります。
地方公共団体にはゴミ出し支援制度があるところも多いため、それらを利用し認知症によるゴミ屋敷化を予防できるようにしましょう。
 
 
後編に続く